*7月1日 お題【夏】
夏が来た 私を置いて夏が来た 熱と痛みを道連れにして
青空の先に入道雲を見る 風鈴の音が何処かで波立つ
太陽を目指して伸びる向日葵の香りよ届け 彼岸の人へ
遊びたい 宿題だらけの夏休み 最後に残した習字の課題
世の人は夏だ海だと大騒ぎ 私はやっと衣替えです
*7月2日 お題【会う】
久々に人と会う度思うこと 服と化粧と話が分からず
中学の同窓会に行きました 誰も彼もが別人でした
画面越し 文字と声とで会えた人 今も元気に生きていますか
この人に出会わなければ今はなく他の未来は思い描けず
太陽と月が出会える素敵な日 貴方の声を肴にワイン
道端でか細く小さな姿見てそれから五年 自慢の愛猫
*7月3日 お題【声】
夜の闇 耳を澄ませば蝉の声 夏の盛りに何をか叫ぶ
カフェの中喧噪混じりの声拾う 「君と一生一緒にいたい」
おーい海 呼んでも返事はないけれど波音は高く大きく響く
ざわついた声の中からすくい取る 正しい答えを信じるままに
息を止め早数時間 声のない部屋に歌だけ流れ始めて
*7月4日 お題【掃除】
そこだけを綺麗にしてもと言われてもやらないよりは百倍マシさ
モヤモヤの頭の中を大掃除 拭いた雑巾どこに捨てよう?
キッチンのシンクに残る調理器具片付けてから料理を開始
こびり付く頑固な汚れを削り取り 輝く壁を見てご満悦
君といた頃の掃除は大変で 今はひとりを実感してる
*7月5日 お題【願う】
空見上げ君は七夕に何願う 僕は現在の持続を願う
名も知らぬ誰かの安否が気掛かりでニュース速報に心が揺れる
この先もずっとこうしていたいなあ 隣で眠るあなたと共に
世の中の願いの数を数えよう 誰かの祝いは誰かの呪い
短冊に何を書いたか答えれば「私も」と赤く頬染める君
*7月6日 お題【月】
黄昏に赤い満月見付けては不思議な光に心躍らせ
深夜二時 ふと目をやれば三日月の影と目が合い眠気が消える
勉学に勤しむ子らが窓の外指で示した淡い十六夜
どんな場所? 海と名前はあるけれど実は岩石と砂の迷宮
時間とはこうも速さを持つものか 上る月見てひとり呟く
「もう今日が終わってしまう」を積み上げて 月の終わりに嘆きを投げる
*7月7日 お題【顔】
「キスしたらあなたの顔がよく見える」「目を閉じた君に言えることかな」
毎日をご機嫌伺いして生きるよりも自分を貫きたいね
久々に君の寂しい顔を見た 僕のせいだとすぐに気付いた
街路樹に我が物顔で留まる鳥 声高らかに何かを歌う
顔を見て考え事が分かるのはそれだけ一緒にいるからかしら
*7月8日 お題【飲む】
乾杯をしてワイワイと酒を吞む 歓迎会で同期の顔知る
飲み込んだ息を今度はそっと吐く 君との日々は驚きばかり
息抜きに飲んだ紅茶はアールグレイ 香りに心溶かされてゆき
暑い日は自販機見付けてつい探す スポーツドリンク 命の泉
その人は過去ごと未来を飲んでいる 現在だけを味わいながら
高校の近くにありしコーヒー店 ドリンク片手に駄弁りし青春
*7月9日 お題【踊る】
手の平の上で踊った日曜日 案外楽しく踏めたステップ
いつの日か君とワルツを踊りたい 頼りないとは言わせないから
パソコンを開けば文字が踊り出す 見ているだけでワクワクが降る
舞踏会 遅れて来たのは王子様 わたしを見てるの気のせいかしら
街を行き何もないのに転びかけとっさに踊る奇妙なダンス
*7月10日 お題【おくる】
年の瀬に送りし葉書に返事あり 今年も宜しくお願いします
三次会終わりに家まで送られて一目惚れした夏の真夜中
かの人に故郷の味を贈りたり 美味きメロンの波広がりぬ
チャットより電子メールの通信のほうが気楽に出来る気がする
旅立ちの背中見送り母は願う 無事に帰って来られるように
*7月11日 お題【夜明け】
暗闇の中を動かず目を瞑り迷いし心に暁来たり
今まではひとりで過ごしていたからか あなたが愛しい新たな夜明け
悲しみを夜に隠して幾筋も流れた涙が朝陽にきらり
さっきまで真夜中だったと思ったが空が明るい 時間よ止まれ
午前四時 空は昼間と同じ色 真夏の夜の短さを知る
*7月12日 お題【線】
午前二時 デッドラインは目の前に 焦ってようやく本腰入れる
幼き日 道路に白墨(チョーク)で描きし絵が車に踏まれ泣きし思い出
「お父さん 線路はどこへ伸びてるの」「君の行きたい全ての場所へ」
少しでも触れてはならない線越えて わたしとあなたは愛人同士
算数のテストで定規を忘れた日 描いたグラフはやけに綺麗で
*7月13日 お題【しん】
腰を上げ歩き始めた噂たち その足音は嘘か真か
首傾げシャープペンシルかちかちと鳴らすあなたに芯を差し出す
カフェテラス 目を輝かせ品を待つ新発売に目がない君よ
進級の季節になると思い出す 離任式での恩師のスピーチ
紳士服売り場でスーツ見てたのは君に似合うと思ったからで
図書館の閉架書庫にて 本の森ひとつ残らず愛しく思う
幾年も二人で眠りし寝室の片付けしつつ君思ひ出し
*7月14日 お題【空気】
魂で足掻いた君の言の葉は空気となって明日へ漂う
どこまでも気球に乗って旅しよう 甘いお菓子と本携えて
愛慕って空気みたいだ 失って初めて苦しくなるものだから
真実の足跡を追う君の眼に灯る炎は空気を焦がす
がらんどう 空気が満たしたこの部屋で君が残した気配を吸うよ
*7月15日 お題【鳥】
夕焼けの視界の外れに消えてゆく鳥よ 明日も元気に暮らせ
黄昏の街路樹の中よく見れば椋鳥の群れ 夜を鳴く声
休日の水族館のペンギンの姿に魅入る君の横顔
渡り鳥 冬の寒さに何思い長旅を経て此処へ来たのか
悠々と空を飛び交う鳥たちのように私も自由でありたい
退屈の代わりにスマホ手に持って青く囀る暮らしよ続け
*7月16日 お題【たて】
何度でも諦め捨てて立ち上がれ 傷の数だけ強さを纏え
縦書きにすると途端に粗が見え赤ペン動かす手は忙しく
金の盾飾りし棚を眺めては昔の栄華を懐かしむ夜
久々に少年時代の映画観て殺陣のシーンにワクワク募り
昨晩の思わせぶりな一幕で私とあなたの噂が立てば
*7月17日 お題【スマートフォン】
朝起きてスマートフォンの通知を見「おは」と答えて始まる一日
目が覚める前から誰にも聴かれずに鳴り続けてたスマホのアラーム
分からないことがあったらすぐ調べ答えが見付かる便利な世界
俯いて自分の世界に浸るより星空眺めて感動したい
授業中鳴ると怒号が飛んできた日々思い出し消音モード
超便利 ゲームもメールも買い物もこれ一台で完全網羅
*7月18日 お題【冷たい】
クーラーで冷えた身体に温かいコーヒー一杯流し込む夏
板チョコのアイスをぱきりと半分こ 甘い冷たさ二人で食べる
君なしの部屋に響いた秒針の音の大きさそして冷たさ
足元にストーブ置いて過ごす夜 冷えた身体をスープで温め
網戸からそっと囁く涼風に秋を感じる九月九日
君の眼は昼間冷たく夜熱く その差に僕は融かされそうだ
*7月19日 お題【模様】
傘持たず出掛ける日だけ雨模様なのは何故かとアスファルトに問う
水玉の可愛いシールを買いました 何に貼ろうか悩んで三日
コンビニで売られるお洒落なスイーツの包装外して大事に飾る
この部屋に君の好みのカーテンとカーペットだけ残しておこう
コンパスの針をノートに刺して描く幾何学模様に花丸ついて
夏晴れの空を彩る白い雲 オキニの傘の出番はなさそう
*7月20日 お題【休日】
家族連れ 老ひし夫婦に学生も 海辺に来たりて夏風を浴び
忙しく働く人と休む人 誰かの休みを誰かで埋めて
元日は営業しないと決めているお店が増えてきた気がしている
「眠いよう あともう少し寝かせてよ」「休みだもんね おやすみなさい」
学校のない日に塾へ向かう子ら いつ休むのかとハテナを浮かべ
*7月21日 お題【歌】
この歌を君に贈ると決めてから試行錯誤を経て早三日
どこからか聞こえた歌で冬を知る メリークリスマス幸せな日を
夏の空 青くて広くてどこまでも遠くに歌を叫びたくなる
あなたには私の歌が聴こえるの 痛み 哀しみ 不幸の歌が
奏でよう 希望の未来を紡ぐ歌 あなたのために わたしのために
*7月22日 お題【氷】
行きつけの小料理屋にて飲む一杯 氷の如く冷えたグラスで
がりがりと削った氷を重ねては赤いシロップたっぷり降らす
さよならと言葉のナイフを突き刺した君の瞳は氷にも似て
こんにちは 氷の家にご招待 透明世界を満喫してね
北国の氷漂う海の中沈む心地で呼吸を止める
*7月23日 お題【火】
怪談を終えた帰りの道すがら墓場で燃える陰火にどきり
たいまつを片手に不思議な洞窟の宝を探して岩屑を踏む
音もなく夜空を滑る飛行機の赤い光は鬼火のようで
誕生日ケーキに飾る蠟燭の数よすくすく未来へ育て
君と見た花火を今はただ一人 雑踏に立ちぼんやり眺め
*7月24日 お題【かみ】
もしも今神に逢えるとするならば時を戻せと懇願しよう
少しだけ前髪切って学校へ 「可愛くなった」と言ってほしくて
絶望のイマが前世の報いならその鎖ごと噛み千切りたい
ちょっとだけ 二時間だけのつもりでも 気付けば朝に 仮眠の恐怖
教会に足を運べる乙女らの気高き心をさきわいたまえ
ばっさりと切った髪の毛洗っては短くなったと実感したり
*7月25日 お題【手】
君の手を握れなかったあの日から僕は誰にも触れずにいるよ
放課後のいつものルートで二人して手をつなぐ日々 明日も続け
手の平の上に乗るほどか弱くて小さな命を愛しく思う
広げた手 血管の色にぞっとして 生きるということ噛み締め直す
真夏日の夜に浮かんだ満月に両手を伸ばして光を掴む
*7月26日 お題【五感】
目を閉じて耳も塞いで香水の匂いを浴びる贅沢な朝
コーヒーの香りに眠気が立ち消えて 飲めば熱さで心が溶ける
言の葉を嗅ぎ取る力と詠む力 第六感に身体委ねて
街の中ベンチに腰かけ音だけの世界で人の営みを視る
身体中君に塗れた僕は今 知覚全てに愛を感じる
*7月27日 お題【標語】
始めよう あなたに合ったお仕事を 週イチ二時間からお気軽に
作ろうよ 住む人みんながゴミひとつ捨てず残さずきれいな街を
新しい今日の訪れ この曲とともに祝おう 朝活ラジオ
もう一杯もう一杯と止まらない 酒を飲んだら運転禁止
暑い日は水分補給だけでなくミネラル分もきちんと摂ろう
「もしかして……あの人の電話怪しそう?」 ためらわないで一声かけて
*7月28日 お題【ペン】
ペンは剣より強しとは真実か 戦いを避け暮らす身なれば
何色で丸を付けるか迷っちゃう 今日の気分は緑かピンク
液晶にペンで描いた創造の子どもの暮らしを今日も見守る
カラフルにノートを彩るサインペン 楽しく学んで成績アップ
教科書に蛍光ペンで線を引く どこが大事か分からなくなる
*7月29日 お題【話】
ひとひらの言の葉つなぎ輪をなしてそれに話と名付けて呼べば
ねえ君は去年の話覚えてる? そろそろ返事が欲しいんだけど
憧れの人に手紙を書く時は話が少し長くなりがち
店の中 彼の話に耳が向き 放送の声がやけに小さく
僕のため君が紡いだストーリー読んで涙が止まらなくなる
寝る前にあなたの話を思い出す 今も元気に暮らしてますか
*7月30日 お題【窓】
ふと見れば窓枠の中にお月さま こんばんはって呟いてみる
デジカメの液晶画面はまるで窓 世界を切り取る魔法の道具
窓という字にある心は誰のもの 私のものにしてもいいかな
涼しさを運ぶ風鈴ぶら下げて窓を開ければ夏風が吹く
あの時はただ下ばかり向いていた 今は違うと窓を眺める
*7月31日 お題【遊ぶ】
もういいかい まあだだよって繰り返し 明日になっても続けていたい
目をやれば時計の針は十二時をとうに回って夜更けに気付く
全員を捕まえるまで終われない 鬼さんこちら 手の鳴る方へ
おかしいな 遊びのつもりだったのに 笑顔が脳裏を離れてくれない
君となら何でも楽しく思うから 今日は何しに遊びに行こう?
