2023年9月の短歌

*9月1日 お題【印】

気まぐれで作ったサイン それなりに気に入り出して何にでも書く
その傷は君と私がいる証 私の中から生まれた印
喫茶店 頼んだコーヒーのカップに綺麗な星の印を見つけ
このところ野菜が不足とジュース買い飲んで畳めば嬉しい印
音楽を刻んだ印とにらめっこ 明日は今日より上手になろう

*9月2日 お題【夜更け】

夜遅く手を動かして気が付くと空が明るい 私は眠い
月のない夜を過ごしてただひとり あなたがいたらと闇に呟く
この時間起きてる人は何してる ひとりか誰かと一緒でいるか
幾度でも愛をささやいてきた夜 空の上まで想いよ届け
真夜中の静かな闇を照らし出す満月を見て無為を過ごせば

*9月3日 お題【時】

親切は時と場合によりけりで ちくりと刺さる針にもなりて
忙しい ああ忙しい 嘆いても 嘆いた時間は戻ってこない
時を超え愛される唄 口ずさむ 初めて聴いたのは車の中
暇な時流れる一分一秒と 忙(せわ)しい時のそれとの違い
若人よ 思う存分涙せよ 時は金なり 夜明けを目指せ

*9月4日 お題【金】

金メダル 獲れた時だけ大ニュース 輝きの影に不断の努力
お金ない ああお金ない 嘆いても 一円たりとも得られやしない
折り紙の金と銀だけ取って置く 千枚集めて折り鶴作る
スーパーで何を買おうか迷ったら時間のバーゲンセールに行こう
若人よ 涙に打たれて花となれ 時は金なり 夜闇を照らせ

*9月5日 お題【当たる】

知らぬ街 ふらりと入ったブティックで犬も歩けば宝に当たる
宝くじ 当たる前から皮算用 海外旅行に大きなおうち
バーベキュー 食あたりだけ気になって 焼き続けてたら焦げ焦げになり
石集めガチャを回して虚無を得る 出るまで回してまた虚無を得る
冷房の風の真下に座ってはならぬと気付くカフェのひととき

*9月6日 お題【秋】

暦ではとっくに秋と言われても最高気温は灼熱地獄
夜になり蝉の代わりに鈴虫のオーケストラが聴こえてきたよ
秋が来た 貴方の秋はどんな秋? 食欲 読書 それとも恋の?
弁当のラインナップが彩りに満ちた九月の初旬のコンビニ
台風が近付き雨が降り離れ 自然の恵みに畏怖さえ感じ
予報円 あまりに大きく困り果て 明日の仕事を休みたくなる

*9月7日 お題【果物】

贈り物 段ボールにはたっぷりと桃の輝き 思わずじゅるり
給食で手を汚すのを避けたくて誰かにあげてたキウイフルーツ
果物の並ぶ売り場をよく見れば宝石のよう 何を買おうか
春先に君とふたりで苺狩りした思い出がふと蘇り
トーストにブルーベリーのジャムつけて頬張る朝のお供にコーヒー

*9月8日 お題【暇】

仕事して家に帰って天井を見上げる時間を暇と呼ぼうか
バスの中 休み時間に昼休み 暇を見付けて英単語帳
タッチの差 次の電車は二時間後 コーヒー飲んで吐息を漏らす
「明日暇?」「場合によれば暇だけど」「映画とランチに行かない?」「暇」
病院で名前を呼ばれるまでの間に考え事が捗りました

*9月9日 お題【休む】

一休みしようとベンチに腰掛けて三休みくらいして歩き出す
働いてやっと休みの日になればあれもこれもとやることだらけ
土曜日と日曜日だけ休む人 平日三回休みがある人
眠れども心は休まること知らず 夢の中にて魂削り
オケ曲で五十小節休む時 音は出さずに奏で続ける
おやすみと枕に頭を預ければ隣で君の呼吸が聞こえ

*9月10日 お題【オノマトペ】

ファミレスの看板メニューの食材にじわりじわりと秋が染み込む
青空をふわりふわりと白雲が漂う 君はどこまで行くの
石畳 からりからりと音を立て進む車輪を横から眺め
大チャンス どかんと一発打ってみよう 応援ソングが描いたアーチ
とんとんとノックの音がこだまして心の扉が静かに開く
淹れたての熱々コーヒー ふうふうと息吹きかけて飲み干すあなた

*9月11日 お題【眼鏡】

悩んじゃう あなたはどっちが好きかしら まんまるめがねと四角いめがね
口付けを交わすためにと掛けていた眼鏡を外す君に釘付け
試着した眼鏡の中で可愛いと言ってくれたの全部買いたい
あれ? ちょっとどころじゃないね ものすごく印象違う 眼鏡の不思議
気が付けば心の奥に色眼鏡 出来れば外して洗浄したい

*9月12日 お題【友人】

朝会えばおはようを言い下校する時にはまたねと言える毎日
冬休み 流れ星の日 夜遅く公園で空を見上げた思い出
夏休み 毎日のように遊んでは宿題まだって笑った思い出
学校に行く最後の日から幾年経ってもあなたはあなたのままで
旧友とSNSで再会し話が弾んだ深夜の三時

*9月13日 お題【コロッケ】

揚げたてを食べると美味い カレー味のコロッケばかり買い食いをして
作るのにとっても手間が掛かるから総菜屋さんで買うことにする
どうやって作っていたか 我が母は 手作りコロッケ上手くできずに
台風が近いからねと笑う君 コンビニのホットスナック眺め
どれがいい 野菜 牛肉 南瓜味 肉じゃが カレー クリームコロッケ

*9月14日 お題【手】

手のひらを太陽光に透かしたら血潮が見えて歌口ずさむ
行き詰まり気晴らしに観た動画での台詞に驚き 「その手があったか」
この一手封じれば次はあの一手 相手の思考をひたすら読んで
ちょっとだけ買うつもりでいた 気が付けば両手に重たい袋が三つ
図書室で同じ本棚見る人が同じ本へと手を伸ばす昼
指先をおしゃれにアレンジ きらきらとグラデーションで宇宙にダイブ

*9月15日 お題【足】

プールの日 まずは足から水につけ 冷たい水に背筋が伸びて
万歩計 毎日つけているけれど万歩どころか千歩も届かず
足元で転がる石は何処までも身を削りつつ坂を下って
擦り減った靴を新調する度にありがとうってひとり呟く
夕飯は特製シチューと聞いたからアスリート並みの速度で帰る

*9月16日 お題【注ぐ】

牛乳をグラスになみなみ注いだらココアと混ぜて飲む夜半過ぎ
辞書開き右上から読む 降り注ぐ言葉のシャワーが脳に染み込む
月明かり 白いシーツに注がれて眠るあなたの息まで照らす
これだけは ただこれだけは譲れない 夢に一筋 心血注ぎ
憧れの人で世界を埋めたくてイヤホンつけて耳から注ぐ

*9月17日 お題【料理】

「おいしいよ」 肉じゃが手作りして味見する君の瞳きらきらしてる
一人ではなかなか作らない五目煮 あなたのためにイチから作る
フライパンひっくり返して皿に乗せ ホットケーキがおいしくできた
バレンタイン 今年は何を作ろうか悩んでいつものトリュフを贈る
伊達巻きを一生懸命作る君 高級おせちに負けない予感

*9月18日 お題【タスク】

積み上がるタスクの処理に追われつつコーヒータイムはきちんと挟み
今週のやることリストを作ったら案外多くて涙が出そう
通知:1 タスクを実行できません エラー番号0001
仕事場のデスクにタスク放り出し甘いマスクで歌うアラベスク
このタスク助くる者を助けむと天を仰げどタスクは減らず

*9月19日 お題【カフェ】

おしゃれしておしゃれなカフェでお見合いを 成果はケーキが美味しいことだけ
ゆったりとソファに沈んで窓の外 サラリーマンを見下ろす休日
パソコンの仕事の息抜き コーヒーのお代わり頼んでケーキを食べる
本日のコーヒー 今日は何だろう 毎日通って楽しみを飲む
割高と分かっていながらカフェランチ 美味しいコーヒー最後にごくり

*9月20日 お題【経験】

履歴書に経歴書いて思い知る わたしの人生意外に長い
若者よ 力いっぱい涙せよ その感情が明日を造る
求人に未経験でもOKと書かれていたから電話しました
経験は何を語るか 生かせるか 数多の命の終わりの果てに
友とあり過ごせし日々はかけがえのなきものなりと昔を思ふ

*9月21日 お題【手伝う】

帰ったらすぐキッチンへ お手伝いするとごはんがとっても美味しい
一仕事終えて周りを見てみれば忙しそうでもう一仕事
少しでも助けになればと手を貸して得られる感謝が至上のご褒美
「助けて」の声ある所へ馳せ参じ悪を懲らしめ名乗らずに去り
洗濯物 干して畳んで笑顔見て 手伝いしよう これからもっと

*9月22日 お題【回す】

縄跳びは跳ぶより回すほうが好き 規則正しくぺちんと鳴らす
ガチャ回し一喜一憂した後で新たなガチャにまた心惹かれ
チャーハンの仕上げに醤油を一回し 深呼吸して香りを食べる
回覧板 回すのは少し手間だけど ポストに入れるわくわくもあり
換気扇 くるりくるりと羽回し それ見た私は眼(まなこ)を回し

*9月23日 お題【弾く】

君が弾き私が歌ったあの曲を今はひとりで弾き語りする
朝露の真珠のように水弾く葉っぱの声に耳を傾け
ギターって見るよりすごく難しい Fのコードが最初の鬼門
いつまでも心に巣くうこの記憶 指で弾いて遠くへ飛ばす
弾かれて転がり落ちたビー玉に傷はないかと確かめる君

*9月24日 お題【とまる】

黄信号 進むか止まるか一瞬で決めなきゃいけない 難しい問い
立ち止まり まちなかの声を聴きながら 風に揺られてコーヒー啜る
「久し振り」「お元気そうで何よりです」 お泊まり会の始まり始まり
海風に漂う船よ 波に乗り止まることなく帆を張り進め
昨晩の楽しい宴の残骸を見て終わり知る原稿合宿

*9月25日 お題【ソファ】

少しだけ眠るつもりで座ったら四時間経ってはっと目覚める
ふたりして座ると深く沈むのね 今までにない新鮮な日々
家で観る映画はソファが一番だ ポップコーンとコーラを傍に
この部屋で横になるのに最適なもの他になくソファで仮眠
家具売り場見て回りつつ座っては品評会をふたりで開く

*9月26日 お題【色】

ミニトマト 郵便ポスト 苺の実 熱い血潮に 止まれの信号
海と空 境界線は何処にある 伸ばす手のある所にきらり
かんかんと警報が鳴り 下がるバー 黄色と黒のしましま模様
パレットの上で作った灰色を紙に移して陰鬱を描く
朝焼けの移ろう色を焼き付けたような瞳に思わず見惚れ

*9月27日 お題【布団】

布団かけおやすみなさい言って去る母の背中が小さく見えて
そろそろか? 夏の間にお留守番してた布団を引っ張り出して
冬の夜 毛布の中が温まるまで読み聞かせされた思い出
座布団に寝転がったら微睡んで これでは寝布団 ひとり溜め息
もう一枚あると暑くて でもないと寒くなるのが初秋の悩み

記録はここで途切れている……

文章の長さ: 詞・俳句・短歌など
ジャンル: 日常 現代日本
恋愛傾向: 恋愛傾向なし 片想い 両想い 失恋
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