この記事群は、同人小説にコメントを付すサービス「感想&日本語アドバイス」で依頼者様に送付した補足資料(にちょっと変更を加えたもの)です。この記事を書くに至った経緯、参考文献などは、 #01 はじめに をご覧下さい。
1.1. BEFORE
安っぽい労いの言葉をかけながら、エアコンの電源をつけた。いくら掃除してもとれないほこりっぽいにおいを僅かに乗せながら、温かな風が部屋に広がっていく。
1.2. AFTER
我ながら安っぽい言葉だ。小さく嘆息すると、息はもう白くはなかった。エアコンが機能しているからだ。いくら掃除してもとれないほこりのにおいを僅かに乗せながら、温かな風が部屋に広がっていく。
※AFTERは、エアコンが点いている前提です。
1.3. 改善案の生成プロセス
文脈
安っぽい言葉を掛ける。エアコンを点けると、部屋が暖かくなっていくのを感じる。鈴木さんが来た。外はめっちゃ寒い。早く部屋に入れてあげなくては。
目標
①2文連続で「~っぽい」が用いられているので、これを回避したい。
②2文連続で「~ながら」が用いられているので、これを回避したい。
1.3.1. 「~っぽい」の連続の回避
「安っぽい」の言い換えについては、私は「安直な」「とってつけたような」がぱっと思い浮かびました(もしすぐに思い浮かばない場合は、インターネットや書籍の類語辞典を、ぜひ積極的に使いましょう)。これらの言い換えを用いずに、「安っぽい」のまま保持するのも勿論アリです。少し迷いましたが、今回は佐藤さん(=価値があるものにこだわりを持つ人)の視点で書かれた物語なので、「安っぽい」を保持することにします。
「ほこりっぽい」の言い換えについては、私は「ほこりの」「かびたような」が思い浮かびました。ほこりらしさは欲しいので、「ほこりの」を採用することにします。
よって、「~っぽい」の連続の回避については、「安っぽい」「ほこりの」を採用することになります。
1.3.2. 「~ながら」の連続の回避
「~しながら」は、「~して」(テ形節)、または「~し」(連用中止法。テ形節からテを除去したもの)で言い換えるのが無難です。また、従属節と主節の構造を分解して、ナガラ節の部分で1つの文として一旦区切るというのも手です。
2文とも少し文字数が多めなので、2文のうちどちらかは従属節と主節の区切りで文を細かく区切って、メリハリをつけてもよいように思えます。では、どちらの文でそれを行なうか?
参考
安っぽい労いの言葉をかけながら、エアコンの電源をつけた。いくら掃除してもとれないほこりのにおいを僅かに乗せながら、温かな風が部屋に広がっていく。
安っぽい労いの言葉をかける対象は鈴木さん(非明示)なので、ナガラ節によってエアコンの電源(明示)と並立させる場合、ナガラ節の間接目的語(~に)は非明示だけれど、主節の直接目的語は明示されているという状況なので、読解コストがナガラ節の側に集中します。そこまで気にならないかもしれませんが、読解コストのコントロールの面で言うなら、少しバランスが悪いかもしれません(ナガラ節の中で「鈴木に」を明示すると、幾分バランスが良くなる気がします)。そこで、2文目はナガラ節を保持して1文の長さを長いままにし、1文目をナガラ節の切れ目で区切って2文に分けます。
以下は、エアコンをまだ点けていない場合(「原文の流れ」に沿ったバージョン)です。
参考
安っぽい労いの言葉をかける。せめて部屋の温度を温かくしようと、エアコンの電源をつけた。いくら掃除してもとれないほこりのにおいを僅かに乗せながら、温かな風が部屋に広がっていく。
以下は、エアコンを既に点けている場合(「改善案の流れ」に沿ったバージョン)です。原文にかなりアレンジを加えています。
参考
我ながら安っぽい言葉だ。小さく嘆息すると、息はもう白くはなかった。エアコンが機能しているからだ。いくら掃除してもとれないほこりのにおいを僅かに乗せながら、温かな風が部屋に広がっていく。
先程、部屋が寒かったことが吐く息の白さで象徴されていました。しかし、きちんと温風が出るエアコンを点けてから少し経つので、今はもうそこまで室温が低くないと考えられます。そのため、佐藤さんに何らかの理由で(今回は「我ながら安っぽいな」という呆れで)ため息を吐いてもらって、「息はもう白くはなかった」としました。そして息が白くない理由(あったかいんだから~)を次の文で述べ、エアコンにフォーカスした後続文に繋げています。
目次:日本語アドバイス(26/02/05)の補足資料#01 はじめに
