日本語アドバイス(26/02/05)の補足資料#01 はじめに

1.1.    この記事群(全15回)について

 こんにちは、山内リリです! 私は日本語アドバイザーを名乗り、ひっそりと「感想&日本語アドバイス」というサービスの提供を行なっています。サービスの詳細はこちら(FC2ブログ「居酒屋やしゆめ」)です。なお、この記事を執筆している2026年2月6日現在、ご依頼の対応に専念しているため、新規受付を停止しています。

 このほど、ご依頼を消化中に、依頼者様から、以下の2点のご要望がありました。

ご要望1

同一語彙表現の連続が課題であると認識した。同一語彙表現を回避するための方法を言語化してほしい

ご要望2

描写が不足し、読者にとって不親切になりがちである。描写不足を解消するための方法を言語化してほしい

 私は恐らく、その辺の人より言語化に適性がある! よっしゃ、やったりましょう! この資料、長くてもせいぜい1万字ぐらいになるかな? そう思って資料を書き始めた頃が懐かしいです。最終的に依頼者様に提出した資料(以後、「補足資料」と称します)は、Wordくんによると4万字を超えています。うっひょ~!

 ともすれば卒論レベルのこの補足資料、なんと、依頼者様のご厚意により、ネットの海に大公開してよいこととなりました!! 依頼者様には、この場もお借りして、深く御礼を申し上げます。なお、公開にあたっては、依頼者様による原文、および、山内による改善案や解説に登場する人物名を、「佐藤清志」「鈴木達樹」に書き換えました。

 #02以降では、4万字の補足資料を小分けにして掲載していきます。


1.2. 独自概念「没入度」

 今回の日本語アドバイスでは、三人称限定視点(≒三人称一元視点)において視点人物の内面にどこまで没入するかを示す指標として、独自概念「没入度」を導入しました。これについて簡単に説明します。

 この作品は、佐藤さんを主人公とする三人称限定視点です。佐藤さんの意識に地の文(≒語り手)がどこまで深く潜っていくか? この潜り具合のことを「没入度」と呼ぶことにします。没入度は5段階で評価し、5が最高、1が最低です。

●没入度5
台詞ではなく地の文で、心の声を長めに描写する。

●没入度4
台詞ではなく地の文で、心の声を短めに記述する。前後の文には「佐藤は~」と主語を明示する文よりも、主語を明示しない文が多くある。

●没入度3
地の文で心の声を記述するなら、「~と思った」「~と感じた」「~と考えた」「~と心配した」「~と安心した」のように、心の声が分かる動詞を使用する。また、前後の文には「佐藤は~」と主語を明示する文が多くある。

●没入度2
台詞として発話することはあっても、地の文で心の声は記述しない。また、前後の文には「佐藤は~」と主語を明示する文や、視点人物の行動描写を行なう文が多くある。

●没入度1
台詞として発話することはあっても、地の文で心の声は記述しない。また、前後の文には、視点人物以外の行動描写や、情景描写を行なう文が多くある。

 没入度は、文の中で上下することもあれば、段落単位で上下することもあります。また、5から4、4から3のように緩やかに上下することもあれば、5から2、1から5のように急激に上下することもあります。


1.3.    文法用語のかんたんな説明

 補足資料においては、文法用語をナチュラルに使用しています。「その言葉、何?」を回避するために、よく登場する文法用語とその意味を以下に列挙します。


句点から次の句点までの間にある文字の塊のこと。ふつう、文の中には1つ以上の節がある


1つの主語と1つの述語からなる塊のこと

主語
「が」を伴う名詞のこと。動作主、動作の対象、感情の経験者などの意味を持つ。なお、主語とは別に「主題」という概念もある。ざっくり「は」を伴う名詞のこと

述語
動詞、形容詞(~い)、形容動詞(~だ)のこと。述語は名詞に何らかの格を与える


名詞が述語から与えられる資格のこと。日本語の格は助詞で表わされる。名詞は必ず、述語から何らかの格を与えられていて、何の意味を持っているのかを助詞が表わす(「が」は動作主、「を」は動作の対象というような感じ。呼称や用法は研究者により異なる)

複文
複数の節を有する文のこと

主節
複文において、それだけで独立した文になることができる節。従属節を伴う

従属節
「~て」「~ので」「~から」「~ば」など、主節に付随し、主節を説明している節のこと


1.4.    参考文献

 補足資料においては、幾つかの文献を参考にしています。初めに提示しておくことにします。なお、参照したサイトは、いずれも2026年2月1日に閲覧したものです。

  • 庵功雄ほか (2000) 『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』スリーエーネットワーク
  • 庵功雄ほか (2001) 『中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック』スリーエーネットワーク
  • e-Stat 政府統計の総合窓口「身長・体重の平均値及び標準偏差 – 年齢階級,身長・体重別,人数,平均値,標準偏差 – 男性・女性,1歳以上〔体重は妊婦除外〕」
    https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003224177
  • 小笠原信之 (2013) 『伝わる! 文章力が身につく本』高橋書店
  • 影山太郎・編 (2001) 『日英対照 動詞の意味と構文』大修館書店
  • 小学館 (2003) 『日本国語大辞典』第二版
  • 瀬戸賢一 (2019) 『書くための文章読本』集英社インターナショナル新書

1.5.    この記事群(全15回)の目次

 この記事群は、約4万字の補足資料を全15回に分けてお送りする予定です。

#01 はじめに
#02 同一語彙表現の回避方法①
#03 同一語彙表現の回避方法②
#04 同一語彙表現の回避方法③
#05 同一語彙表現の回避方法④
#06 同一語彙表現の回避方法⑤
#07 不親切描写の回避方法①
#08 不親切描写の回避方法②
#09 原文の流れを改変
#10 同一語彙表現の回避方法⑥
#11 同一語彙表現の回避方法⑦
#12 同一語彙表現の回避方法⑧
#13 同一語彙表現の回避方法⑨
#14 同一語彙表現の回避方法⑩
#15 おわりに

 それでは、全15回にわたる約4万字の補足資料を、どうぞごゆるりとお楽しみください。

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目次:日本語アドバイス(26/02/05)の補足資料#01 はじめに

文章の長さ: 掌編(2000字程度)
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