日本語アドバイス(26/02/05)の補足資料#14 同一語彙表現の回避方法⑩

 この記事群は、同人小説にコメントを付すサービス「感想&日本語アドバイス」で依頼者様に送付した補足資料(にちょっと変更を加えたもの)です。この記事を書くに至った経緯、参考文献などは、 #01 はじめに をご覧下さい。

1.1.    BEFORE

何もできないことを謝罪したところで意味はない。そんなことは彼が一番よく分かっている。それでも今は謝ることしかできなかった。

1.2.    AFTER

無力を謝罪したところで意味はない。そんなことは佐藤自身が一番よく分かっている。それでも今は謝る以外にできなかった。

1.3.    改善案の生成プロセス

文脈
自分は無力だ。でも謝るしかできない。

目標
①「こと」の使用を1回以内にしたい。
②類似表現「謝罪」「謝る」を同時使用しない選択も視野に入れたい。

1.3.1.   「こと」の回避

 「何もできないこと」とはどういうことか? それは、何もしてあげられない(何かしてあげられる力がない)ということです。これを端的に言うなら「無力」なので、1つ目の「~こと」は「無力」と置き換えることにします。

 「謝ること」は、「謝罪」と名詞を用いても良いですし、動詞のまま「謝る」(またはそれに類する表現)を活かすこともできます。今回は「謝罪」を既に使用しているので、「謝る」のままいくことにします。「謝ることしかできなかった」というのは、「謝るという方法以外には出来ることがなかった」というような意味ですので、「謝る以外にできなかった」と書き改めることにします。

 そして、最後に「そんなこと」について考えます。この表現は必要か、それとも削ってよいものか? あるいは、別の表現に変更するか?

 「そんなこと」を使用する場合、「そんなこと」の指示対象が強調されます。また、「それでも」と「謝ること」(←使用する場合)で「そ」および「こと」(←使用する場合)が音として被ります。「それでも」を使用しない場合は、「だとしても」「しかし」「でも」に置き換えられそうです。「こと」を使用しない場合は、「謝る以外に」「謝るほか」「謝るしか」に置き換えられそうです。

 削る場合「そんな」と「こと」が無くなるので、前後の文にある「こと」「それ」(これらも削ろうと思えば削れます)の音のリズムと被りが無くなり、また、連続使用の状態が解消されます。音の被りや連続使用を防ぎたい場合に有効です。

 別の表現に改める場合は、「そんなの」「それは」などにすることができます。

 使用するか、削るか、別の表現に改めるか……お好みで選択してみて下さい。

1.3.2.   「謝罪」「謝る」の同時使用を回避する

 「謝罪」の意味は「罪やあやまちをわびること」(日本国語大辞典第二版)です。そうすると、「謝罪」および「謝る」は、「詫びる」に言い換えることが可能です。例えば以下のようにできます。リズムやテンポ感、読んだ感じを加味して、お好みで選択してみて下さい。

参考
無力を詫びたところで意味はない。そんなことは佐藤自身が一番よく分かっている。それでも今は謝る以外にできなかった。(詫びる-謝る)

無力を詫びたところで意味はない。そんなことは佐藤自身が一番よく分かっている。それでも今は謝罪以外にできなかった。(詫びる-謝罪)

無力を謝ったところで意味はない。そんなことは佐藤自身が一番よく分かっている。それでも今は詫びる以外にできなかった。(謝る-詫びる)

無力を謝罪したところで意味はない。そんなことは佐藤自身が一番よく分かっている。それでも今は詫びる以外にできなかった。(謝罪する-詫びる)

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目次:日本語アドバイス(26/02/05)の補足資料#01 はじめに

文章の長さ: 掌編(2000字程度)
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